TOMONI
GO TO 2100 ともに生きる江戸川区

第5回
えどがわ未来カンファレンス

2021年9月6日

令和3年9月6日、「第5回えどがわ未来カンファレンス」が開催されました。今回も新型コロナウイルス感染症の状況を鑑みて、オンラインでの開催となりました。

第4回 えどがわ未来カンファレンス

令和3年度となって初の開催となったカンファレンスには、

  • 東京大学大学院情報学環特任教授・片田敏孝さん
  • 国連の友Asia-Pacific代表理事・金森孝裕さん
  • 思考家・白土謙二さん
  • 講談社FRaU編集長兼プロデューサー・関龍彦さん
  • ローマ五輪女子100m背泳ぎ銅メダリスト・竹宇治聰子さん
  • 株式会社ロフトワーク共同創業者取締役会長・林千晶さん
  • 東京大学教養学部環境エネルギー科学特別部門客員准教授・松本真由美さん
  • 会社員・山本華菜子さん
  • デザイナーのライラ・カセムさん

(五十音順)

の9名の委員が参加し、区が今年度に作成していく長期ビジョンに繋がる内容などについて、委員と座長を務める斉藤猛江戸川区長が議論を展開しました。

江戸川区からの報告

  • 各委員からの提案も参考にしながら制定した「ともに生きるまちを目指す条例」が、委員に共有されました。また、この条例が8月15日の広報誌に掲載されると、区民の方々から「温かで分かりやすく心に響いた」という主旨のお手紙が届いたという、心温まるエピソードも紹介されました。
    加えて、条例の理念をわかりやすく区民の皆様に伝えるため、『ものがたり』と『絵本』の形で制作を進めていることを説明しました。
  • 区の新たなエンブレム・スローガンについては、現時点での仮案をお示ししました。ここからさらに検討していくことを報告しました。
  • 区が5月に内閣府から「2021年度SDGs未来都市」に選定されたことを報告しました。
  • 区として20年振りとなる長期ビジョンの作成に取り組んでいくことを報告しました。
カンファレンスの効果
カンファレンスのこれから

各委員の意見

ともに生きるまちを目指す条例

  • 江戸川区の目指す方向性や目的が明確になり、とても洗練されている印象がある。
  • リスクについても区民に隠すことなく伝えていること、時代に応じた見直しを明記していること、何より分かりやすい文章表現が高く評価できる。
  • 条例はできたが、大切なのはこれからである。決して理念の額装化にしてはいけない。条例を制定した目的は、理念の具現化である。
  • 条例が「誰を思い浮かべ、その人に江戸川区でどのように暮らしてもらいたいのか」がイメージしづらかった。おそらく「江戸川区がまだ自分のスタンスを示せていないから」ではないかと思うので、今後、理念の具現化を進めていって欲しい。

このほか、多くの委員から「心に響いた」「期待感がある」などの感想が聞かれました。

行政と住民の関係性

  • 行政が主体で住民が客体という従来型の関係性を見直していくべきである。例えば災害対策の場面では、避難の考え方を行政主体の「行動指南型」から、住民主体の「状況判断型」に方向転換した。今後、様々な取り組みを行っていくと思うが、まちづくりの主語は行政ではなく住民である。
  • 行政と住民は主体と客体の関係ではなく、主客未分として相対主義的であるべきと思う。行政と住民が物事を一緒に考え、構築していく仕組みを構築していくとよい。センスメイキング理論が参考になると思う。
  • 誤解を恐れずに言えば、全区民に職員になっていただくような発想が必要である。

共生社会

  • 戦略的なPRの目玉として、江戸川区役所の新庁舎を「どのような『共生の場』として位置づけ、その目的にためにどのように活用できるのか」を考えてみてもよい。区民の持つ能力が活かせるインクルーシブな場にしたり、いざというときのための拠点にしたりといったことが考えられると思う。
  • 情報発信を強化して、具体例を明示しながら成功事例を蓄積していくことで多くの区民が共感を得て、共生が自分ごと化していく。
  • 「共生」の理念を条例で明文化しても、日常生活で多様な人とのつながりが弱いままではいつまでも他人事のままである。日常の風景で多様な人が自然と目に映る場面を増やすことで自分ごと化していくのである。
  • 東京パラリンピックの開催によって、多くの人々に「やればできる」という意識付けができたと思う。パラスポーツをツールとして上手に活用し、共生社会を目指して欲しい。
  • 共生社会実現に向けて、多くの人の共感・感動・行動を促すためには「文化の力」が非常に大きな効果を発揮する。
  • 「区民と自治体の交流」を図ったり、老若男女の「世代間交流」、新宿区を上回り23区1位となった外国人人口を活かした「国際交流」などを企画したりすると、共生社会の実現が進むと思う。また、「国連の国際デーを活用した教育」などもできるのではないか。
委員の方々の意見<行政と住民の関係性・共生社会>
委員の方々の意見<共生社会>

区民協働

  • 広い意味でデザインをもう一歩進めてはどうか。デザインとは発信側ではなく、受け手側の言葉で描くものである。例えば、外国人が23区で一番多いという特徴を活かし、外国人とともに条例を作ってみてはどうか。一緒に作れば、多言語化も容易である。
  • 東京オリンピック・パラリンピックに刺激を受けて、「自分にも何かできないか」と思っている大学生も少なくない。「大学生と江戸川区のコラボレーション」が実現するとよい。例えば、「なごみの家」で活動すれば、子どもにとっても年が近くて話しやすい、大人にとっても助けを求めやすい存在になるのではないかと思う。
  • これまでも江戸川区は何かをやろうとしている人をサポートしてきてくれた。今後出てくるであろう「何かをやりたい」という意思を持った若い人たちに対しても、気軽に相談しやすい行政であってほしい。
  • 町会でLINEグループを作るのもよい。半径1km圏内において、様々な困り事などをコミュニティの力で解決する仕組みを作るとよい。
委員の方々の意見<区民共動>

区のあり様

  • 公平(EQUALITY)と衡平(EQUITY)の違いを理解し、誰もが自分らしく暮らせる社会を目指すべきである。
  • まちには誰でも受け入れる風土があり、個人が繋がるコミュニティがあり、アクティブな区民になれる場があることが重要である。
  • 様々な取り組みを行う時、「何故自分たちが行うのか?」ということを常に考えている。区でもそれを考え、江戸川区にしかない価値を創造して欲しい。

環境

  • これまでの「原料」から「廃棄物」までの直線的な消費活動「リニアエコノミー」から、「廃棄物」の発生を最小限に抑える「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」へと変化させていくべきだと思う。共生社会の具体の方法論として、サーキュラーエコノミーの先進区となることを提案したい。
  • モノを「捨てる」「所有する」という概念をなくしたサーキュラーエコノミーの推進は、シティプロモーション面でも効果が高いと思う。
  • Appleは「地球から何も取らずに製品を作る」と宣言しているほどである。「めぐる」をキャッチフレーズに推進してみてはどうか。
  • 脱炭素に向けた取り組みを具現化し、ゼロカーボンシティを目指して欲しい。
  • 2050年には魚よりも海洋プラスチックの方が多くなる予測もある。水に囲まれた江戸川区なので、この問題にも積極的に関わって欲しい。
委員の方々の意見<環境>