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趣味のランニングを生かしたマラソン番組などでも活躍するタレントの井上咲楽さん。自然の中で走ることが好きだという井上さんに、自然界の一員として、時代が変化しても自然の中で走り続けたいと願う未来のために、今の私たちにできることや継続するコツをお話しいただきました。
16歳のときにホリプロタレントスカウトキャラバンでデビューし、おはスタの「おはガール」を経て、タレントとしてバラエティ番組に出演するようになりました。現在では「新婚さんいらっしゃい!」の8代目アシスタントとして様々なご夫婦のお話を聞いています。また、走ることがとにかく好きで、東京マラソンやハーフマラソンなどに参加し、現在も自己ベスト更新を目指しています。ちなみに、江戸川区の河川敷のように信号のないランニングコースは都内ランナーにとっては羨望の場所ですよ。
もともとシャトルランをきっかけに走ることが好きになり、中学生の頃はバレーボール部に所属しながら、陸上の大会にも出場していました。高校生になってもジョギングは続けていたので、その頃には走ることが私の生活の一部になっていたのだと思います。その後、スカウトキャラバンで入った事務所にマラソン部があったことで引き続き走る環境がありました。ここ2年くらいは、ランニング番組「ランスマ倶楽部」もあって、記録を追うことも続けていますが、記録のために走るというよりは走った結果、記録が出て楽しいというサイクルです。
プライベートの時間では、「毎日走らないと…」という使命感はないですが、走らない日は気持ち悪いと感じるぐらい、歯磨きと同じで、毎日当たり前にする感覚。生活の中に組み込まれているからこそ何も考えずに続けられるし、飽きることもありません。だからこそ続けられるのだと思います。特に自然の中でするランニングはすごく楽しいですね。
昆虫食は生き物の命をいただいていることを実感できます。初めて虫を食べたとき、「これを食べるの…?」という嫌悪感がありましたが、それは生きている姿のまま食べるからこそ抱いた感情だと思います。お肉やお魚は切り身など加工されて売られていることが多いので、「生き物の命をいただいている」という感覚があまりないのが現実。私も「今まで命をいただいていた」ということを忘れていたことに、コオロギなどの虫を食べたことで気が付きました。そうした生きているものが食卓に来ていることを知るという意味でも、昆虫食は食育のひとつになるのではないかと思います。何より、昆虫食はとても美味しいです。昆虫を好んで食べている方の多くが、その味自体に魅力を感じています。私自身も、食育やSDGsというより、味が好きで食べていますね。
ふと周りを見渡してみると、私たちの食べるものや使用しているものは自然界のものがベースになっています。だからこそ、自然とともに生き、生かされているということを忘れてはいけないと思います。私は子どもの頃、自然いっぱいの環境で育ったため、鳥や虫などの生き物を身近に感じていました。どうしたらこの自然を守れるか、大切にするにはどうしたらいいかということを考えることもありました。図鑑や教科書を見て学ぶことも大事ですが、自然の尊さを実感する機会を子どもの頃から作ることが重要だと思います。ちなみに、都内の生物多様性は郊外よりも豊かで、都心にも多種多様な生物が暮らしていることを先日出演した番組で知りました。
都会の日常生活では「自然と共生している」という気持ちを忘れがちですが、ふと気づくことができれば自然がたくさんあることに気づけるのではないでしょうか。気づいて、見て、触れて、意識するようになれば、自然の大切さを考えるようになります。「自分一人が行動して意味があるのかな」と思うのではなく、一人ひとりの行動が積み重なれば大きな力になるとみんなが信じて、少しずつでも取り組む人が増えれば自然とともに生きていけると思います。
まちを作っていくには、区役所の行政職員に任せていては難しいと思います。住民が生活を通じて気づいた困りごとや、生きづらさなどを共有し、改善していくサイクルが必要です。そこで重要なのが、江戸川区では区議会にあたる地方の議員の方々です。江戸川区に特化し、自分たちのまちの代表者として議会に出ている議員は私たちが選挙で選んだ代表者です。議員と住民が同じ目線をもつ必要があります。そう考えると選挙に参加すること、誰に自分の意見を託すのかが自分たちの生活に密接だと気づくのではないでしょうか。
例えば、私の地元は夜になると節電のために点灯している街灯が減らされていますが、夜に走っていると暗くて辺りがよく見えずに転倒してしまうことが多々あります。地方は街灯がないと本当に真っ暗なので、ランナーとしても、住民の安全のためにも、街灯を点けておいてほしいと感じていました。こうした実感値を生活者目線で問題提起することがまちを良くしていくと思います。
他にも、行政の支援や援助を重視する人が増えていると思います。街並みや住みやすさだけでなく、まちの住民に対するサポートの違いによって転居先を変える人もいるのではないでしょうか。みんなが住みやすいまちには人が集まり、より充実したまちになっていく。自分の住むまちを良くしたいという思いを持つことが大切だと思います。
私は、着なくなった服を困っている人たちに届け、自分が購入した収集袋代の一部がワクチン寄付になる「古着deワクチン」というサービスをよく利用しています。古着の提供やワクチン寄付で困っている人を助けることができる上に、私は不要な衣類を回収してもらうことができるので、お互いにメリットのある活動だと思っています。また、古着でも出せないようなボロボロのタオルや服は、ハサミで切って揚げ物の油やしつこい汚れをふき取るときに使うようにしています。古タオルや古着を使うと、洗剤やスポンジの使用が減るので地球に優しく、洗剤やスポンジを買う回数も減り、結果的に自分にとってもメリットになります。
辛いことや難しいこと、面倒だったり意識しないとできないことは続けられないと思うので、「古着で油を吸う」のように日常生活の一部としてできることから始めれば、継続できると思います。
今後は山の中を走るトレイルランニングに挑戦したいと思っています。都内にもクロスカントリーのコースを練習できる場所があり、自然の中で走ることが好きな私にとってすごくありがたい場所なので、これからも守り続けていきたいです。そのために、これから時代が進んでいろいろなことが進化していっても、人間は生態系の中の生き物の一つであることを忘れずに生活したいです。私たちは自然と共生しているということを、何かしらの形で多くの人に伝えていけたらと思います。
栃木県芳賀郡益子町出身。
第40回ホリプロタレントスカウトキャラバン特別賞受賞。
トレードマークにしていた太い眉毛を卒業し、話題に。
テレビ朝日系列「新婚さんいらっしゃい」NHK「サイエンスZERO」に出演中。
趣味はマラソン、発酵食品を使った料理など。
フルマラソンの自己ベストタイムは3時間26分06秒(ネットタイム)。