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GO TO 2100 ともに生きる江戸川区

未来へのヒント

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自分自身の「想い」を発信し、前向きな「共生社会」へ

 多様な立場の人と人が支え合いながら生きる「共生社会」を推進する江戸川区では、日常の温かみのある暮らしだけでなく、陸域の7割が満潮時の水面よりも低い海抜ゼロメートル地帯として万が一の際に区民の生活を守るための安全・安心のまちづくりにも力を入れています。魅力ある江戸川区での暮らしを守り、より一層楽しむためには何が必要なのか、自身の想いを“言葉”としてつむぎ発信してきた江戸川育ちのラッパー・KREVAさんに伺いました。

KREVA

KREVAさんのご経歴をお教えください。

自然豊かな環境でスポーツに打ち込んだ子ども時代

 ヒップホップグループ『KICK THE CAN CREW』として2001年にメジャーデビューし、2004年からはソロでの音楽活動を開始しました。KREVA名義の作品をつくりつつ、様々なアーティストとのコラボレーションやユニットを通じて活動の幅を広げてきました。最近では、歌手の石川さゆりさんと『NHK紅白歌合戦』で楽曲を披露しましたので、そこで僕を目にした方もいるかもしれません。

江戸川育ちと伺いました。

 はい、青森で出生しましたが、育ちは江戸川区だと公言しています。僕が千葉県から江戸川区に移り住んだのは10歳の頃。南葛西小学校に転校して早々、学級委員に立候補したり、昼休み恒例のドッジボールをサッカーに変えたり、やりたいことは自ら発信して周りを巻き込んでいくタイプでした。活発な性格でしたので、区内でよく身体を動かしていました。区内全域に伸びるサイクリングロードを自転車で走ったり、葛西臨海公園までランニングしたり、体力づくりにもなって楽しかったです。子どもの頃はサッカーに夢中で、よく総合レクリエーション公園で練習していました。そんな馴染みのある場所でしたので、ラッパーとしての活動も総合レクリエーション公園でスタートしました。その頃から『KREVA』を名乗り、園内のフラワーガーデンで友達とラジカセを囲んで即興でラップをする日々。ラップのスキルが磨かれ、ラッパーとして生きていく覚悟が固まっていった、僕の原点です。

KREVA

「自ら発信する」姿勢はこれまでの人生にどのように活かされていますか?

道を切り開き、新たな作品をつくるうえで重要な「想いを伝える」

 やりたいことや好きなことは、周囲に発信することでかたちとなり動き出すと思っています。僕が初めて楽器にふれたのも幼稚園に通園している時に「ギターやりたい」と母に言ったことがきっかけですし、19歳で本格的に音楽活動を始める際に30万円ほどのサンプラー(音源を取り込んで加工・再生する機材)がどうしても必要で、母に想いを伝えて説得できたことでローンを組んで購入できました。当時、手頃な機材を買うのは夢を諦めるための言い訳になるような気がしたので、最も機能的なサンプラーを当時の自分にとっては高額でしたが選びました。本当に必要で欲しかったものなので今でも価格が高かったとは思っていません。その機材はメジャーデビュー後も楽曲制作で使用し、今でも大切に使い続けています。

 音楽制作では僕の意見を伝えることに加えて、周りの意見を促すことを意識しています。楽曲やミュージックビデオ、ライブなどはチームでつくり上げるものです。たわいもない会話から出てきた言葉がきっかけでアイデアが生まれることもあります。ただ、なかには引っ込み思案のスタッフもいるので、そこは生まれ持ったリーダー気質の僕の出番です。くだらない話題を含めてざっくばらんに話しながら発言しやすい空気をつくっていきます。何気ないことが新しい正解になる可能性があるのでとにかくみんなに発信してほしいんです。

KREVA

 これまでの30年近く、ラッパーとして活動できたのはヒップホップを突き詰めることへの覚悟があったからだと感じます。感情を音楽にのせて表現するヒップホップにおいて、起点となるのは自分自身の考えです。「人に伝える」というのは、言葉の言い回しや相手のとらえ方ひとつで気持ちのすれ違いや争いが生まれかねない難しいものですが、勇気と想いを強く持ち発信することが大事だと思います。

江戸川区がすべての人たちが安心して暮らせる「共生社会」を実現するためにどのようなことが必要だと思いますか?

区特有の地形は他にはない個性。魅力あるまちをこれからも大切にしていく

 江戸川区は川や海、公園などの自然環境が豊かで、様々な国籍や文化を尊重する風土のおかげか、まちや暮らす人たちに温かみがあります。その一方で、海抜ゼロメートル地帯として大雨や台風による自然災害のリスクがあることは小学校で教わりました。ただ、僕は江戸川区の特徴的な地形をネガティブなものではなく“個性”としてとらえています。子どもの頃から歩道より高い位置に川がある光景を面白いと思っていましたし、タワーホール船堀のタワー展望室から望む、せり上がるように広がる都心の絶景はほかでは見られません。江戸川区での暮らしを安心して楽しむためにも、区民一人ひとりがあらかじめ災害発生時の避難手段を把握し、万が一の際には冷静に行動できるよう気に留めておくことが大切だと思います。

KREVA

KREVAさんの今後の目標をお聞かせください。

 江戸川区で凱旋ライブを開催したいです。コロナ禍の影響で断念したため、楽しみにしていたファンの皆さんのためにも必ず実現させます。ライブはコールアンドレスポンス(呼びかけと応答)によって観客と一緒に音楽をつくる特別な舞台です。そして今、公演中の声出しが可能になった喜びをかみしめています。2023年は9月15日(木)日本武道館公演や前日に僕が主催するライブイベント「908 FESTIVAL 2023」をはじめ、全国各地を飛び回りパフォーマンスを披露していきます。“誰も置いていかない”ピースフルな時間を提供したいと思うので、これまで応援してくれたファンも、初めてKREVAを目にする観客も一体となって楽しんでほしいです。

プロフィール

KREVA

KREVA(クレバ)

HIP HOPアーティスト
2004年「音色」でソロメジャーデビュー。HIP HOPソロアーティストとして、2ndアルバム『愛・自分博』 史上初のオリコン週間アルバムランキング初登場1位を獲得、アジア人初のHIP HOPソロアーティストとして『MTV Unplugged』に出演するなど、日本のヒップホップシーンをリードし続けている。
書籍に『KREAM ルールなき世界のルールブック』(2011年 幻冬舎)がある。
2013年、9月08日は“クレバの日”と日本記念日協会に正式認定される。
様々なアーティストへの楽曲提供やプロデュース、映画出演、ブロードウェイミュージカル「IN THE HEIGHTS」、「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」の日本語詞を担当するなど幅広く活動。最新アルバム「LOOP END / LOOP START 」(2021)はオリコン、billboard JAPANと共に週間ランキング1位を獲得。
作詞、作曲、トラックメイク、ラップ、さらにはプロデュースまで、すべて自身で行う日本の音楽界最重要人物のひとり。

2023年9月14日(木)KREVA主催の”音楽の祭り”「908 FESTIVAL 2023」
9月15日(金)KREVA CONCERT TOUR 2023「NO REASON」と日本武道館2DAYSを開催予定。

KREVA OFFICIAL HP:
https://www.kreva.biz/
KREVA Official YouTube Channel :
https://www.youtube.com/user/kreva/