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魚住りえさんが語る、「みんなで目指す江戸川区の共生社会=SDGs」

2021.03.30

 フリーアナウンサーとしてSDGsの番組に携わるなどしながら、日々その知見を広める活動を続け、ご自身でも「捨てられてしまう酒かす」を使って、蒸留酒・ジンを製造するベンチャー企業をはじめられている魚住りえさん。
 今回は魚住さんに、ご自身の活動のみならず、江戸川区が独自の魅力を活かしながら、本気で共生社会、SDGsを実現させるためのアイディアをお聞きしました。

まずは身近な買い物から

 私がSDGsついて本格的に学ぶようになったのは、2020年10月に始まったTOKYO FMの「SDGsティーチャー」というラジオ番組からです。まだまだ、学び始めたばかりですが、初心者の視点で、SDGsを伝えていきたいと考えています。
 数ある学んだことの中でも、私の生活に最も影響を与えているのは「買い物での商品の選び方」ですね。私やリスナーの方の“ティーチャー”として様々なことを教えてくれる青柳仁士さんや企業の方々から、「認証マークのついている商品を買うと、それだけでSDGsに参加したことになりますよ」と教えていただきました。
 それまでSDGsに抱いていた「環境に良い活動をしないといけない」「難しい経済に参加しなきゃいけない」といったイメージが一変して、「SDGsって日常のなかで簡単に始められるんだ!」と目から鱗が落ちる思いでした。
 それからはスーパーで買い物をするときも、食品や日用品を買うときは認証マークがついているかを意識するようになってきています。

エシカル消費を始めましょう

 最近は、「倫理的」といった意味のある「エシカル」な消費が注目を集めるようになり、特に若い人を中心に消費の意識が大きく変わってきていると感じます。
 一人ひとりが「ちょっと高いけど、地球のためにこっちの商品を買おう」と、日々の行動を少し変えるだけで貢献できるのは素敵なことだと思います。
 また、そうした場面で「貢献しよう」という意識を持つ人をいま以上に増やすためにも、「認証マークのついた商品を買うとポイントが貯まる」ような仕組みも面白いかもしれません。「ポイントを貯めていくと、江戸川区の運営する施設を割引して使えたり、優先的に使えたりする」といった特典があれば、買い物の際にも積極的に参加したくなるかなと思います。私のようにポイント大好き人間は、たくさんいますよ。

エシカルなお酒を造る

 私たちが立ち上げたベンチャー企業では、日本酒の酒蔵から大量に出る、本来は廃棄されてしまう“酒かす”を使ってジンを製造しています。もともと私はお酒が大好きなのですが、近年は全国にある小さな酒蔵が次々と廃業してしまっている状況です。そこで私たちはそんな酒蔵を支援したいと思い、通常であれば酒蔵が産業廃棄物として代金を支払って廃棄しなければならない酒かすを買い取り、その酒かすからアルコール分を抽出してジンを造ることにしたのです。さらに、できあがったジンを販売して得た利益で酒米を購入し、酒蔵に差し上げる「循環経済型プラットフォーム」を構築しています。

中には、あまりお酒を飲めないメンバーも

 実は、私たちの仲間の中には、あまりお酒が飲めないメンバーもいるんです。お酒が飲めなくても、それでも「美味しいお酒の文化を途絶えさせないために、廃棄されるものを使って価値のあるものを生み出す」というエシカルな想いに、賛同し協力してくれる人がいることは、とても嬉しく思います。

ジェンダーギャップ解消に向けて

 私は、ベンチャー企業の経営と並行して、様々な講演や研修等も行っています。その中で男女が平等に働ける社会を実現するためには「女性自身が意識を変えていく」ことがスタートだとお話ししています。
 経済的・精神的に男性に依存している状態では、女性が本当に自立することは難しい。そのため、まずは「自分たちは独立するんだ」という気づきをもっていただけるようにお伝えしています。
 世の中にはそうした考え方に対して反発される方も少なくありません。
 しかし最近になり、20~30代の方々は男女平等に理解のある方が増えたようにも感じます。そうした方々がどんどん増えていくことで、みんなが思いやりを持った社会になるのではないかと期待しています。

昔から伝わる情緒×SDGs

 江戸川区では各地区でおまつりをたくさん開催するなど、コミュニティで支え合う文化が健在なのだそうですね。おまつりのようなひとつの目標に向かって協力していく活動は、私の所属する「エシカルスピリッツ」で、より良いゴールに向かっていく意識と似ているかなとも思います。
 また、区内には「なごみの家」という、誰もが気軽に、様々なことを相談できる施設があるとも伺っています。みんなでひとつの目標に向かっていくように、ひとりで困っている人を、周囲のみんなが助けることのできる施設があり、区民の誰もが利用できる環境にいるのは、とても素晴らしいことだと思います。
 そうした区民同士のつながりをさらに強めるために、「SNSを活用していく」というのも意外性があって注目を集めるかもしれません。これまでもSNSを使って区の取組みを発信したり、区民が受けられるサービスを告知したりはしているかもしれません。そこからさらに一歩踏み込んで、区民のみなさんがコミュニケーションを取れる機会をつくってみてはいかがでしょうか。最近流行している音声SNSを活用して、「江戸川区民あつまれ!」と題してみなさんの集まる場所をつくるのも面白いかもしれませんね。

 江戸川区は、いまや都会では失われつつある「情緒」が残っている街だと思います。下町情緒という昔から続く稀有な個性を活かしながら、SDGsのような新しい考え方をカジュアルなかたちで区民の方々に発信していっていただけるといいなと思います。

今回の話を聞いた方
(※記事中の役職名は取材当時のもの)

魚住りえ

魚住りえ 氏

アナウンサー
フリーアナウンサー。元日本テレビアナウンサー。ボイス・スピーチデザイナー。大阪府生まれ、広島県育ち。1995年、慶応義塾大学卒業後、日本テレビにアナウンサーとして入社。報道、バラエティー、情報番組などジャンルを問わず幅広く活躍。代表作に『所さんの目がテン!』『ジパングあさ6』(司会)、『京都心の都へ』(ナレーション)などがある。2004年に独立し、フリーアナウンサーとして芸能活動をスタート。これまでおよそ500本の作品に携わる。とくに各界で成功を収めた人物を追うドキュメンタリー番組『ソロモン流』(テレビ東京系列)では放送開始から10年間ナレーターをつとめた。各局のテレビ番組、CMのナレーションも数多く担当し、その温かく、心に響く語り口には多くのファンがいる。また、およそ30年にわたるアナウンスメント技術を活かした「魚住式スピーチメソッド」を確立し、現在はボイスデザイナー・スピーチデザイナーとしても活躍中。著書「たった1日で声まで良くなる話し方の教科書」「たった1分で会話が弾み、印象まで良くなる聞く力の教科書」「話し方が上手くなる!声まで良くなる!1日1分朗読」(全て東洋経済新報社)はシリーズ累計27万部を突破している。