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日本一フォロワーを持つ女子高生の原点とは

 緑豊かな水辺のまちに十人十色の個性が共生する江戸川区。都市として年月を重ねるなかで、様々な文化を持つ人々が集まり、異なる国籍や価値観の人々がともに生きる江戸川区には、まちの文化として“人の温かさ”が根付いています。今回は、インフルエンサーの枠を超えて女優・タレントとして活躍する江戸川区出身の大関れいかさんに、国籍を超えたコミュニケーションから生まれた印象に残るエピソードなどを通して、人々と関わることの大切さを伝えていただきます。

大関さんのご経歴をお教えください。

『日本一の女子高生』から女優の道へ

 女優としてドラマや映画に出演する傍らで、ラジオパーソナリティーやユーチューバーなどタレントとして活動しています。女優を始めるきっかけは高校3年生のとき。当時、6秒動画共有サイト・Vineに投稿した動画が日本中の若者を中心に支持され、『日本一フォロワーを持つ女子高生』として話題になっていました。その動画を見た映画監督から声をかけていただいたことが縁となり、女優業もVineの後に始めたYouTubeと同じく、大切な仕事になりました。

 私は、もともと作ることや演じることが好きなんだと思います。勉強の合間になにげなく投稿した動画が話題になり、江戸川区に暮らす高校生が瞬く間に有名人になっていく状況に戸惑いつつも、たくさんの人が楽しみにしてくれていると思うと「もっと面白い動画を作りたい」とやる気が高まりました。女優の仕事も最初はそこまで興味があったわけではありませんが、一度お芝居をしてみたら演じることの楽しさに魅了されて今に至ります。

女優業と並行してユーチューバーとして活動される理由は何でしょうか?

 YouTubeは最初に取り組んだVineに代わる動画配信サービスとして捉えていて、視聴者と交流できる貴重な場になっています。色んな仕事を経験するなかで、「面白い」という言葉が私にとっての一番の褒め言葉であり、「モチベーション」なのだと気付きました。私が作った動画で視聴者が笑顔になり、その温かい時間をみんなで共有する。みんなを楽しませたいという一心で動画づくりに励んでいた高校生時代に戻った気分ですね。令和に入り様々なメディアが誕生しているので、私自身も女優という枠組みにとらわれず、等身大の大関れいかも含めたボーダーレスな活動を楽しんでいきたいです。

江戸川区の魅力をお教えください。

日々の生活で感じる区民の温かさと海外の経験

 江戸川区には、東京23区のひとつでありながら自然がたくさんありますね。川辺にはゆったりとした時間が流れて、葛西臨海・海浜公園をはじめ緑豊かな大きな公園が区内各所にあります。それでいてスーパーマーケットや飲食店が揃っていて生活するにも便利なので、家族で住みやすいまちだと思います。

 高校生の頃は、葛西の大型ショッピングセンターや小岩駅周辺、河川敷で遊んでいました。自然豊かなまちに住んでいながらも、当時はプリクラが一番好きでしたね(笑)。大人になってから江戸川区の自然のすばらしさを再認識しました。新堀小学校沿いの桜並木は私の中で日本一の桜の名所だと思います。葛西や小岩などの名前しか上がらないイメージですが、まだまだマイナーな良いところがあって歩けば歩くほど魅力が増えていくまちなので、皆さんもぜひ散策することをおすすめします。

新堀小学校沿い桜並木

江戸川区での思い出は何でしょうか?

 3歳から始めた水泳です。サーフィン好きの父の影響で、夏になると毎週末海に行くほど泳ぐことが大好きで、普段は部活やクラブチームで練習していました。中学生になると区内の総合体育館に毎日通うようになり、スタッフの人たちともとても仲良くなりました。気さくに声をかけてくれたり、練習道具を忘れた時には私物を貸してくれたり、友だちと錯覚するような距離感です。気持ちが落ち込み練習に行かなかった時期にも、「久しぶりだけど何かあった?」「がんばってね」と励ましてもらいました。散歩ですれ違う人や近所の人なども声を掛けてくれて、江戸川区といえば人情味、と思える原体験になっています。

「人の温かみ」は多文化が共生するまちの風土にも関係するように感じます。

 国籍や価値観の違いがあるなかで分け隔てなく人と接する気持ちは、いろんな人が共生するまちづくりに必要だと思います。江戸川区が外国籍の区民向けに、日本語をわかりやすく伝える言語『やさしい日本語』の活用を進めるのも、その温かみの表れだと思います。小岩には韓国籍や韓国にルーツを持つ人がたくさんいて、聞こえてくる韓国語もまちを形づくる要素のひとつになっています。私の親友に小岩生まれ・小岩育ちの在日韓国人がいますが、知り合った頃から“一人の親友”として遊んでいたので偏見などはありませんでした。長く一緒にいると「在日韓国人として何か言われたことがある?」といった世間的には触れにくいことを質問したこともありますが、それは純粋に相手のことを知りたいと思うからこそ。たしかに、そういったルーツなどに関する偏見があるのは悲しいですが、人を色眼鏡で見ることなく、やさしさを持って接してきた経験は、「みんな違って、みんないい」という考えにつながっています。

 江戸川区の『青少年の翼』に参加した経験も、異なるバックグラウンドを持つ人と分け隔てなく接することにつながっています。『青少年の翼』は、江戸川区内の子どもたちを海外に派遣して、外国の生活や文化を体験してもらう事業です。私自身も、高校生の頃に団員としてカナダに行かせてもらいました。カナダの人たちとの交流を通して、「もっと英語の発音を勉強したい」「人見知りなんて言ってられない」といった成長するための目標や課題をもつことができました。これからの社会をつくる子どもたちにも、ぜひいろんな人と接してみてほしいと伝えたいです。話しかけるために一歩踏み出す勇気が身に付き、自分と違う考えを知ることは、自分自身の考えの幅を広げることにつながります。皆さんにも新しい環境に飛び込むからこそ見える景色があるはずです。

エッセイ『すべてにおいて全人類平均型の私だけど最高に幸せ』に込めた想いをお教えください。

言いづらければ犬相手でもいい。

 YouTubeでの活動でも等身大を心掛けていますが、私の本質的な部分をもっと知ってほしいという気持ちで出版しました。これまでの人生で傷ついたことや心に留めていたことを思い切って書いたのですが、エッセイを読んだ皆さんからは「私もそう」「一緒だよ」といった共感の声が多く、孤独を感じている人に「自分一人だけじゃない」と思ってもらえてたらうれしいですね。

 ただ、過去を笑って話せるようになるまでにはいろんな葛藤がありました。悩みや辛いことを周りに伝えることは勇気がいります。学生の頃は親にも先生にも打ち明けられず、どんどんふさぎ込んだりしました。それでも勇気を出して周りに話したことで、少しずつ気持ちが前を向き出しました。友だちでも、ご近所さんでも、勇気が出ないなら犬でもいいと思います。思っていることを口にすることが挫折から切り替える一番の近道ではないでしょうか。私自身、エッセイを通して伝えたいことを発信したらすごくすっきりしました。社会により多くの共感の輪が生まれるよう、これからも率先してやっていきたいです。

これからの目標は何でしょうか?

 女優としてはいろんな役を演じる力を身に付けて、役柄の中にも自分の色を出せるようになりたいです。見ている人から「大関れいかって面白い」「印象に残るよね」と言ってもらえる存在を思い描いています。理想に近づくためには、私自身の人間味も重要になると思っています。視聴者の皆さんと同じ社会に暮らす“一人の人間”であることを忘れることなく、プライベートの出来事や考えていることも発信しながら、親近感をもって皆さんに応援していただける女優を目指していきます。

 目標実現の道のりには坂道もあると思いますが、そんなときは大好きな江戸川区のまちに助けられるかもしれません。人がやさしくて、のどかで、心落ち着くホームタウン。その魅力をより多くの人に知ってもらい、江戸川区を訪れる人が増えること、そして江戸川区を代表する女優になることが、私の目標です。

プロフィール

大関れいか

大関れいか

1997年1月16日生まれ。東京都江戸川区出身。
高校生でショート形式の6秒動画共有サイト「Vine」へ投稿し始め、「日本一フォロワーを持つ女子高生」として人気を獲得。
2014年頃よりTVなどにも出演し始め、バラエティ番組を中心にラジオパーソナリティー、 CM 出演など幅広く活動。
映画『私たちのハァハァ』、『屍人荘の殺人』やドラマ『警視庁・捜査一課長2020』、『転職の魔王様』など、女優としての出演も増えている。
現在はインフルエンサーの枠を超え、女優としても活躍中!