お年寄りに優しい街
はじめまして。好きな野菜はもちろん小松菜、ぼる塾のあんりです。
去年実家を出るまでの26年間、私はずっと江戸川区で暮らして来ました。
江戸川区出身の一人として、こちらでエッセイを書かせていただくだなんて、こんなに光栄なことはありません。
私の江戸川区のイメージは「お年寄りに優しい街」です。
私は生粋のお爺ちゃんお婆ちゃんっ子でした。
子供の頃、両親と兄がお出かけに行くときも、お爺ちゃんと公園に行くという理由で断って行かなかったり、昼寝しているときも途中で起きて、お爺ちゃんの部屋に移動して昼寝し直したり、とにかくお爺ちゃんとばかり一緒にいました。
両親も働いていたので、幼稚園の送り迎えもお爺ちゃんで、帰り道に自動販売機でアロエジュースを買ってもらうのがルーティンでした。
おかげで、私は今でもアロエジュースを飲んだだけであの頃に戻ることができます。
そして、私は子供の頃から食欲旺盛で、お爺ちゃんやお婆ちゃんはお菓子よりもご飯のほうが体にいいと、おやつに納豆ご飯を出してくれていました。
気付くとどんどんふくよかな子供になっていて、心配した両親は炊飯器を私が届かないように高いところに置いたのですが、私は椅子を移動させて乗り、ごはんをよそってこっそり食べていました。
そんな私を発見したお婆ちゃんは、椅子にのるのは危ないからと、それからおやつにこっそりご飯を食べる共犯者になってくれました。
ふくよかになり続ける娘をおかしく思った両親にバレた時は、一緒に怒られてくれました。
今でも納豆ご飯は好きですが、お婆ちゃんとこっそり食べた罪の味は超えれません。
そんな私は中学生になって、職場体験で一週間ほどくつろぎの家というお年寄りの憩いの場に行くことになりました。
お爺ちゃんお婆ちゃんが大好きな私にはぴったりの場所だと思いました。
色んな体験をさせてもらいましたが、受付の仕事を任されたときは、いらっしゃったお爺さんやお婆さんが笑顔で挨拶をしてくれて、お饅頭や羊羹、蒸したさつまいもや焼いた銀杏などの差し入れをくださる方もいて、私は今仕事で美味しいものを沢山食べていますが、あの懐かしくて温かくて優しい味はいつまでも忘れられません。
食リポが上手な田辺さんは、その味をなんて言うのか凄く気になります。
きっと素敵な表現をしてくれるでしょう。
カラオケ大会の司会を任されたこともあり、私のたどたどしい進行も温かい拍手で盛り上げてくれたり、緊張してこわばってる私の肩を優しくぽんぽんとしてくれたお爺さんやお婆さんもいました。
誰かが歌うのをみんなで手拍子しながら聴くただただ優しい時間が心地よくて、それはいま、はるちゃんや田辺さんや酒寄さんとだらだら話している時間に似ている気がします。
どれだけ年を重ねても、こんな時間をともに過ごせる仲間でいれることが私の夢です。
くつろぎの家にいらっしゃるお年寄りの方々はとにかく楽しそうで、私の方がいつも元気をもらっていました。
いま、くつろぎの家はないですが、江戸川区にはお年寄りにとっての憩いの場、素敵な場所が今でも沢山あります。
お爺ちゃんやお婆ちゃんと共に生きてきた私は、そんな地元が愛おしくて誇らしいです。
私も結婚をして子供が出来て、子供も結婚をして、孫が出来たりして、その時にまた大切な人達と共に江戸川区で暮らせていたらいいなと思っています。